「みどりのリノベーション講座」開催しました!
緑や地域資源を活かした地域活性化事業の手法について学び、具体的なプランをシェアするワークショップ型講座「みどりのリノベーション講座」を初開催しました。
3日間の講座には、土地所有者やコンサルタント、自治体職員や建設会社等多様な参加者24名が集まりました。最終発表には地域住民にも参加頂き、質の高いプレゼンテーションで地域の方に新たな気づきが生まれる機会となりました!
■■開催概要
平成29年①10/20(金)②10/21(土)③10/28(土) 10:00~14:00
※11/12(日)高松マルシェ視察会(参加任意)
【会場】:みやもとファームとうふ房/高松一・二・三丁目農の風景育成地区内
【主催】:東京の緑を守る将来会議
【後援】:東京都/練馬区/(公財)練馬区環境まちづくり公社 みどりのまちづくりセンター
※交流会を除く
【協力】:㈱チームネット
【助成協力】:(一財)セブン-イレブン記念財団
【定員】:30名(先着)
【参加者】:24名(3日目発表に参加した地域住民8名)
【ゲスト】:
甲斐 徹郎氏 (株)チームネット 代表取締役、関東学院大学客員教授
田村 誠邦氏 ㈱アークブレイン 代表取締役、明治大学理工学部特任教授
和久 倫也氏 WAKUWORKS 代表、やぼろじ 代表
小野 淳氏 ㈱農天気代表取締役、NPO法人くにたち農園の会理事長

■■プログラム
■1日目 : 10/20(金)10:00~16:30
主催者あいさつ
参加者自己紹介
講座の流れとゴールの設定説明
高松地区の現状
生産緑地の解説
講義①地域資源を活かすコミュニティベネフィット論とアフォーダンス論
昼食兼グループワーク① アイデア共有
現地視察
個人ワーク・グループワーク② アイディアまとめ
グループ発表
振り返りと今後の作業について、事務連絡

■2日目 : 10/21(土)10:00~16:30
あいさつ、振返りと本日の流れ説明
講義②緑や屋敷の地域資源を活かした不動産経営論
講義③事業プロセスをデザインする自己組織化論
昼食兼グループワーク③ アイディアまとめⅡ
講義④東京都内の緑活用事例~古民家や畑が新たなコミュニティ拠点に変身!~
グループワーク④ ゼミ(講師:甲斐氏、田村氏、和久氏、小野氏)
発表&講評
事務連絡
■3日目 : 10/28(土)10:00~14:00
あいさつ、振返りと本日の流れ説明
グループワーク⑤ 発表準備
最終発表(各10分発表 5分講評 質疑応答)
交流会
■高松マルシェ視察会 :11/12(日)10:00~12:00
・「高松一、二、三丁目農の風景育成地区」内で行われるマルシェの視察
・意見交換会

■■開催報告
<1日目 : 10/20(金)10:00~16:30>
●講座概要説明
はじめに、主催者よりあいさつと趣旨説明を行い、講座の流れとゴールである最終発表について説明した。その後、各グループで自己紹介をし、参加した理由などをカードに書いてシェアしてもらった。
●高松地区の現況紹介
高松地区の現況について、練馬区とみどりのまちづくりセンターの方々にご説明いただいた。また、モデルエリアをご提供いただいたみやもとファーム株式会社代表取締役の宮本茂昭氏に、自身の活動やモデルエリアの状況についてご説明いただいた。
その後、高松地区で活躍する4団体に、高松地区とのかかわりと活動 内容についてご紹介いただいた。
(以下、事例発表概要)
① みやもとファーム株式会社
代表取締役の宮本茂昭氏は高松地区の農家として、農の6次産業化を目指す。農業体験農園や焼き肉レストラン、とうふ房など多様な事業を展開している。
② TEAM・ネリマメ(練馬芽)
練馬の大豆で味噌・豆腐をつくる、をキーワードに、農地・農業の大切さを感じられる体験イベントを行っている。
③ NPO法人自然工房めばえ
高松を拠点に、ハーブや植物をツールとして人と人をつなぐ地域コミュニティ作り、園芸福祉療法活動などを行っている。
④ 演劇活性化団体uni
地域に根ざした演劇作品の上演やワークショップを行なっている。2017年からは高松に暮らす人の声を集め演劇をつくるプロジェクトを実施。
●生産緑地の解説
(一財)都市農地活用支援センター計画部長の小谷俊哉氏に、生産緑地制度の概要と現状についてお話しいただいた。モデルエリアの中にある農地の活用について考える上で知っておかなければならない情報として、参加者に把握してもらった。
●講義「地域資源を活かすコミュニティベネフィット論とアフォーダンス論」
(株)チームネット代表取締役の甲斐徹郎氏に講義いただいた。コミュニティを作ることが目的ではなく、コミュニティを利用することで個人では得られない大きな価値をうみだすことができるという考え方に基づくと、コミュニティを活かしたプランニングが生まれること。また、人の行動は環境によって左右されるため、それを利用すると、緑に大きな価値が生まれることなどをお話しいただいた。
●現地視察
みやもとファームでの昼食の間に、各グループでみどりを活かした土地活用プランのアイディア共有をしてもらった。その後、モデルエリアの現地視察を行った。
●グループ発表
現地視察後、各グループがめざすみどりを活かした土地活用プランについて発表してもらい、甲斐氏や宮本氏に講評を頂いた。
<2日目 : 10/21(土)10:00~16:30>
●講義②緑や屋敷の地域資源を活かした不動産経営論
1日目の振返りの後、㈱アークブレイン代表取締役の田村誠邦氏から「緑や屋敷の地域資源を活かした不動産経営論」をテーマに講義いただいた。みどりの活用を考える上で避けては通れない相続などお金に関する話に、参加者は真剣に聞き入っていた。単なるアパート経営では、今後の少子高齢化時代にマッチしないが、緑を活かすことで、その場所に付加価値をつけることができる。相続についても、具体的な事例をもとに詳しく解説いただいた。参加者の中でも特に土地所有者からは多数の質問が出ており、関心の高さがうかがえた。
●講義③事業プロセスをデザインする自己組織化論
(株)チームネット代表取締役の甲斐徹郎氏に講演いただいた。自分事から始まり、それを大きく育てていく事業プロセスのデザイン手法について学んだ。事業プランを立てる上で大変参考になる内容で、参加者は早速グループでたてたプランの見直しを行っていた。
●講義④東京都内の緑活用事例~古民家や畑が新たなコミュニティ拠点に変身!~
昼食後、WAKUWORKS代表の和久倫也氏と㈱農天気代表取締役、NPO法人くにたち農園の会理事長の小野淳氏のお二人に事例紹介をしていただいた。
和久氏からは、国立市谷保の民家再生プロジェクト「やほ゛ろし゛」についてご紹介いただいた。長く放置されていた古民家は、「やぼろじ」として地域の人々の手によって生まれ変わり、シェアオフィスやカフェ、ギャラリーとして活用され、マルシェなどのイベントも開かれている。また、桐朋学園小学校で行った学園内のみや林(武蔵野の雑木林)を中心とした小さな里山づくりなどの事例もご紹介いただいた。
小野氏からは、和久氏が立ち上げたやぼろじで行っている地域の子育て拠点「つちのこや」プロジェクトや、約300坪の宅地化農地を使いこなす「くにたちはたけんぼ」の取り組みなどをご紹介いただいた。農地で行う婚活や忍者教室、BARなどの斬新な取組みは、参加者の事業プランの発想展開におおいに参考となった。
●グループワーク(ゼミ形式)
昼食後、各グループで事業プランについて練る時間をとった。甲斐氏、田村氏、和久氏、小野氏の4名が各グループを周り、事業プランについてアドバイスを行うことで、事業プランがより具体的かつ現実的にまとまりはじめた。
●発表&講評
4つのグループの現状の事業プランを発表し、講師と宮本氏に講評を頂いた。各グループ、事業プランの大枠が出来上がった。講師と宮本氏からは、より実現可能なプランとするためのアドバイスや、発想を飛躍させるためのヒントが伝えられた。講座終了後、グループごとに最終プレゼンテーションに向けた連絡体制や打合せ日程などが話し合われ、講師に積極的に質問する姿などが見られた。
<3日目 : 10/28(土)10:00~14:00>
みどりの新聞「みどりのひと」の発行:年2回、7月と11月に発行。
●グループワーク(最終発表準備)
各グループ、開始前から集合し、1週間かけて作ってきたプレゼンテーション資料の確認を行っていた。講座が始まると、講師にチェックをお願いするグループ、発表の練習で時間を計るグループなど、それぞれ最終発表のために計画的に時間を使っていた。
●最終発表(各10分発表 5分講評 質疑応答)
3日間の集大成として、各グループの事業プランの発表を行った。発表には、講師の他、地域住民8名も参加し、各グループの発表に対して質問するなど積極的に参加して頂いた。3日間の講座とは思えない質の高い発表内容に、発表が終わるたびに大きな拍手が送られた。
今回モデルエリアを提供いただいた宮本氏からは、参加者への感謝と共に、各グループの発表内容のレベルの高さへの驚きと、今後の事業の参考にしたいとの嬉しいご意見を頂いた。
(各グループ発表タイトル)
Aグループ:Farm Infra Town Takamatsu~ファーム インフラ タウン 高松~
Bグループ:百の知恵でハンドメイドする農と樹のある暮らし~みやもとファーム「さとまち」プロジェクト~
Cグループ:The Permaculture Eco village Project in TAKAMATSU~農とみどりが気持ちいい! 循環型エリア丸ごとリノベーション計画~
Dグループ:100年続く農と食の発信地~遠くの長野より近くの練馬!
●交流会
宮本氏のビニールハウスをお借りして、バーベキューを行った。バーベキューには地域住民にもご参加頂いた。3日間の講座を終えた参加者からは、講座への感謝と今後への期待の声が上がった。3日間とは思えない充実した内容に満足頂くとともに、3日間を通して高松や宮本氏の取り組みを知ることができ、今後の事業にぜひ活かしていきたいと、各自名刺交換などを行い交流を深めていた。宮本氏に特別にご用意いただいた湯葉づくり体験では、参加者同士が仲を深めながら楽しく参加している様子が見られた。最後に、宮本氏への感謝をつづった寄せ書きをプレゼントした。
<高松マルシェ視察会 :11/12(日)10:00~12:00>
●「高松一、二、三丁目農の風景育成地区」内で行われるマルシェの視察
講座参加者9名が集まり、東京ねりま高松マルシェ実行員会主催の高松マルシェの視察を行った。マルシェ会場には、みどりのリノベーション講座の報告ブースを設置し、各グループが作った事業プランを多くの方に見ていただく機会となった。
視察では、宮本氏とまちづくりセンターの山口氏にご案内頂き、高松エリアで活躍する団体の飲食出店やパネル展示、野菜販売などを見て回った。その後、宮本氏の農地をご案内頂き、農地の変遷や今後の取り組みについてお話しを伺った。
●意見交換会
講座参加者9名と意見交換を行った。講座終了から2週間が経ち、参加者はそれぞれの仕事現場で今回の講座内容を活かしていた。会社内で講座の報告会を行った方、グループメンバーと食事をする仲になった方、自身が所有する土地の活用に学んだことを活かそうと考えている方など、今後の展開が楽しみとなる報告を聞くことができた。また、講座のアフターフォローや定期的な同窓会のようなものがあると良いなどのご意見もいただき、今後の講座運営の参考となった。