谷戸の再生へ。市有地から民有地へ広がる活動

XXX"東京都町田市の鶴川駅からバスに乗ること10分ほどで、緑豊かな三輪緑地に到着します。 雑木林の真ん中に田畑が広がる様子は、昔ながらの谷戸の風景そのものです。こんな風景が広がる3カ所の谷戸で『三輪みどりの会』は活動しています。

■よみがえった谷戸の風景

三輪緑地のすばらしい谷戸は、実は10年ほど前までは、人の手が入らず荒れ果てた場所でした。
かつての風景を取り戻すため、市の呼びかけで集まった人々によって2001年に三輪みどりの会が設立されました。設立の翌年から7000㎡の市有地の管理を始め、その後管理地は徐々に広がり、今では市有地・民有地を含めて31800㎡の手入れを行っています。
三輪みどりの会の日々の活動によって、谷戸の風景はよみがえりました。
耕作放棄され樹木が茂っていた田畑は、地元農家の方と協力して再生し、稲作や野菜づくりが行われるようになりました。
鬱蒼として光が入らなかった雑木林は、会員の皆さんの地道な作業によって環境が改善し、クマガイソウなどの希少種が見られるようになりました。

武蔵野市に唯一残る雑木林
武蔵野市に唯一残る雑木林

変わったのは風景だけではありません。 谷戸を活用したイベントを開催することで、地域の方々が谷戸に集まり、地域のつながりが生まれています。 収穫したもち米を使った餅つきイベントや、野菜を使った芋煮会は大好評! また、子ども達の環境教育の場としても活用され、今年は地元小学校の2年生が落ち葉を集めて作った「カブトムシの家」が雑木林の縁に設置されました。

武蔵野市に唯一残る雑木林

■民有地へと広がる活動

XXX"市有地の管理から始まった活動は、今では隣接する民有地にも広がっています。 三輪みどりの会のメンバーは、活動場所だけでなく、活動場所以外の田畑にもよくお手伝いに行くといいます。このような活動への信頼から、地主さんが休耕地を三輪みどりの会に貸してくれるようになったそうです。 代表の中山さんと活動場所の傍を歩いていると、ご近所さんが畑から顔を出して、「このきゅうり美味しいから食べて!」と、とれたてのきゅうりをプレゼントしてくれました。 自然を守るだけでなく、地域に愛される活動をされているのだと実感した出来事でした。

代表の中山光雄さん

■楽しみは活動の合間のランチタイム♪

設立当時25名だった会員は、現在67名にまで増えました。 毎月の活動日には、田畑や雑木林のお手入れをするため会員が集まります。 作業の合間のランチタイムには、とれたて野菜や持ち寄った食材を使って全員で調理&食事。 自然の中で仲間と楽しむランチタイムは、たまらなく贅沢な時間です。 同じ釜の飯を食べながら、近況を話したり、作ったお料理の話をしたり、皆さんとっても楽しそう!この時間を通してメンバー間の絆が強くなっていることが、楽しく活動が続けられる秘訣なのだと感じました。

※『三輪みどりの会』は2011~2013年度「東京の緑を守ろうプロジェクト」の助成団体です。
助成金は、機材や種苗の購入などに使用され、谷戸の再生に役立てられました。